首取り様4
化け物には通用しなかったのに、弾丸を弾き返す地蔵には通用するなんて。


落下した少女は何度か激しく咳き込み、そのまま逃げ出した。


獲物を失った地蔵が大輔を見つめる。


その目は空虚だったが、大輔には恨みが込められているように見えた。


殺そうとしていた人間を逃されたのだ。


怒っていてもおかしくはない。


「この刀には敵わないんだろう?」


大輔が再び刀を握り直す。


このまま首を斬ることができれば、終わる!!


そう思った直後のことだった。


地蔵が切られた右手を胸の辺りまで持ち上げた。


その断面は完全な石で、体液も出てきていない。


まさしく怪物だった。


そしてその断面が突然ボコボコと泡立つように動いたかと思うと、ボコッ! と新しい手が生えてきたのだ。


その光景に大輔は目を見開き絶句した。
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