その声で名前を呼ばないで
「じゃあテスト返します」
テスト終わり一発目は数学だった。
次々と名前を呼ばれて、テストを受け取った生徒はガッツポーズをしたり頭を抱えたりしている。
「次、百瀬」
初めて成田先生に呼ばれた名前。
それまではテストの点数が気になってドキドキしてたはずが、今はたぶん別の意味でドキドキしてる。
「危なかったですね」
私の耳元でそう言って、少し笑いながらテストを渡されて、私のドキドキは収まりそうになかった。
点数はやっぱり赤点ギリギリだった。