その声で名前を呼ばないで
「先生の声、かっこよくて」
「・・・」
最後は消え入りそうな声になったけど、先生には聞こえたみたいだった。
先生は何も言ってくれない。沈黙がこんなにも辛いのは初めてだ。
「っ、うそ!うそです」
耐えきれなくなってそう言った私は、布団で顔を隠した。
先生が立ち上がる気配がして、少し気を緩ませたのが間違いだった。
「百瀬は、耳が弱いんだね」
「んっ、」
耳元で聞こえた先生の掠れた声と、思わず漏れた私の甘い声。
頭がクラクラした。
立ってたらきっと倒れてた。