その声で名前を呼ばないで
高野先生の怒鳴り声にも、口の悪さにも、もう慣れてしまった私たち。とは言っても、この怒鳴りを聞いたのは久しぶりで、つい笑ってしまった。
それはみんなも同じだったみたいで、気付けば教室は笑い声に包まれていた。
「笑うな!8時45分には体育館に移動だからな、それまでは静かにクラス替えの余韻に浸っとけ」
少し顔を赤くした高野先生は、早口でそうまくし立てて教室を出て行った。
「ねえ睦月、今年も担任は高野先生がいいねぇ」
「私も高野先生がいい。あの先生、口は悪いけどいい先生だし」
「そうそう。しかも私たち、1年も2年も高野先生だったしさ。こうなったら卒業まで近くで見届けてもらわないとね!」
「担任発表は始業式だよね、ドキドキするね」