彼は私を偏愛している
「亜舟くん」
「ん?なぁに?」

雛菜はソファの足元に置いていたプレゼントを渡した。

「これ…受け取ってくれる?私からのプレゼント!」
「え?プレゼント?
このブランド……高かったんじゃない?」

「あ、だからね…一番安いキーホルダーになっちゃった!
でも、とっても綺麗なキーホルダーだよ!」

「………ヒナ」
包みを開けた亜舟が、真っ直ぐ雛菜に向き直った。

「ん?亜舟く━━━━━━」
そして雛菜を抱き締めた。

「ありがとう…ヒナ……ありがとう…スッゴく嬉しい!」
「ほん…と……?」
「うん!嬉しい!大切に使うね!
ヒナ、大好き……愛してるよ!」

その言葉に雛菜は、目が潤み出す。


そして二人は、ベッドルームに移動した。

「ヒナ、もっと声聞かせて?」

亜舟の愛撫に声が止まらない。
手の甲で口元を押さえる雛菜に、亜舟は優しく手を外しながら言った。

「亜舟く…だめ……変な…声…出る……んぁ…」
「うん…変な声…もっと…聞かせて……」
「あ…ん…ぁ…やぁ…も…だめぇ……」

「ヒナ…おいで……?」
繋がったまま、雛菜の背中を支え起こした亜舟。

「んんっ……!?」
「ヒナ、僕をギュッて抱き締めて?」
「うん…」
亜舟を抱き締め、肩に顔を埋めた。

「幸せ…」
「亜舟くん?」
「ずっと…こうやって繋がったまま、くっついてたい……!」
亜舟も、雛菜の肩に顔を埋めて呟いた。


「………亜舟くん」
雛菜は、肩に顔を埋めたまま呟いた。
「ん?」

「……………亜舟くんは、私の何処がいいの?」

「ん?ぜーんぶ!」
「全部って、アバウトだなぁー(笑)」
「だって、本当にヒナの全部が大好きなんだもん!」
「え?」

「顔も、声も、身体も、髪の毛も、ヒナに流れてる血も………全部!愛しい…!!」

「そ、それは…言い過ぎ…だよ…////」

「そうかなぁー?」
亜舟は雛菜の額に自分の額をくっつけた。
「亜舟くん?」

「ある意味だけど……ヒナと流れてる血が、一緒だったらいいなぁって思ったことあるよ」

「え……?」

「まぁ、そうなると、結婚できないからダメだけど(笑)」
「あの……亜舟くん?何、言って……」

「僕はヒナと、ぜーんぶ、一緒になりたい!
一つになりたい!くっついて、放れられなくなりたい!」

亜舟を包む、なんとも言えない妖しく恐ろしい雰囲気。



それは━━━━
これから起こる何か恐ろしい事態を予感させていた。
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