彼は私を偏愛している
「でも、どうしてわかったの?」

「昨日のヒナ、ずっとおかしかったから。
そわそわしてたし、なんか企んでるんだろうなぁって!」
「そ、そうなんだ……バレてたんだ……」

「ヒナは、純粋だから!
嘘はつけないよ?
それに僕は、ヒナの変化には敏感だからすぐに分かる」

「そっか…ごめんね…亜舟くん」

「もういいよ。ヒナが僕のことを思ってくれたことは十分伝わったから……
でももう…二度とダメだよ?
そんな時は、僕に言って?わかった?」
雛菜の頭を撫でながら言う、亜舟。

「うん、わかった」


「それにしても……こんな綺麗な足に、傷をつけるなんて……
僕はヒナを傷つけないように、大切に大切にしてるのに……許さない……!!」

亜舟の口唇が太ももから徐々に上がっていく。

「んんっ…!!?
亜舟くん、待っ…て…やぁ……」
「こら、声…我慢して?ここ、そんな簡単に音が漏れないけど、防音ってわけじゃないから。
ヒナの可愛い声、誰にも聞かせたくない!」
「そんな…無理…だよ……」

「ダーメ…!お仕置き中なんだから……!」
雛菜は手の甲で口元を塞ぐ。
「━━━━━!!!」
「ヒナ、気持ちいい?」

雛菜は、何度も首を縦に振る。

顔や耳まで真っ赤にし、必死に自分が与える愛撫に耐えている雛菜。
その姿を見るだけで、亜舟は欲が煽られる。

早く繋がって、一つになりたい。
でも、もっと…意地悪して翻弄させたい。

亜舟は、欲とひたすら戦うのだった━━━━━━


亜舟の腕枕で頭を撫でられる、雛菜。
目がトロンとしている。
「ヒナ、眠い?」
「ん…」
「いいよ、寝てて。
僕は、もう少し仕事するから」
「ん…だったら、家に帰って寝るから。帰るね。
亜舟くんの邪魔にもなるし」
「そうじゃなくて、一緒に帰りたいの。
だから、ここで待っててほしい」
「………わかった。じゃあ…少し寝るね…」

「ん。おやすみ…ヒナ……」
雛菜が眠ったのを確認すると、亜舟の目付きが鋭く光った。


部屋を出た、亜舟。
「佐近」
「ん?
大枝だろ?」

「さすが、僕の優秀な秘書だ」

「ヒナちゃん?だっけ?
話、聞いてたから。あ!分かってると思うけど、その後は聞いてないよ?」
「フフ…わかってるよ」

「大枝のことだから、その偽情報を葦原(あしはら)に売ると思うから今探りを入れてる」

葦原とは、亜舟の会社のライバルと言っていい会社の社長のことだ。

葦原も佐近と同様で、大学の同級生だ。
亜舟と葦原はお互いに刺激になるいいライバル視し合っている。


「まぁ、葦原がそう簡単に騙されるとも思えないけど」
「まぁな!もうすぐ、分かるよ!」
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