数馬くんのことが好きすぎて腹がたつ
・第1章
2月1日、卒業式の1か月前。
神尾高校。
空は青く澄み渡り、暖かく心地のいい風が柔らかく吹き春の訪れを知らせる。
そして、校庭に樹齢百年目の大きな桜の木がもうすぐ綺麗な桜の花を咲かせようと準備をしている。
きっと、卒業式の頃には淡いピンク色の花で満開になるんだろうと想像を膨らませる。
同じく、今年の3月で創立100年目を迎える関西では有名な木造建てのこの立派な校舎。
古い木造の独特な匂いが好きで。
歩くとキュッキュッと鳴る廊下も愛着があって私はめっちゃこの学校が好きだった。
好きな先生もいたし、ちょっと苦手な先生もいたけれど。
友達とわいわい言いながら過ごした3年間の高校生活はなんやかんやほんまに楽しかったなぁと思う。
私達は、あと1か月でこの学び舎から卒業をし、お別れをしなければいけない。
< 1 / 53 >