数馬くんのことが好きすぎて腹がたつ


慎一が今にも泣きそうかりんの顔を覗きこみ自分の顔をぐんと更に近づける。


「答えないつもりなら、このままここでキスをするぞ」


慎一の攻めが始まった。


昔から慎一のこういうところ全然変わってない。


「………いいの?」


挑発してくるこの慎一の甘い声。



でも、今の私には全然響かない。



困ると必ず八の字眉毛になるかりん。


かりんは慎一に手首を強く握られたまま微動だに動けない状態だった。


私、窮地かもしれない。


ちょうどそう思った時だっだ、私の背後から「俺の大切な彼女に手を出さんといてくれへんかなぁ?」と低い男の人の声が聞こえた。



そして、声のする方に顔をゆっくりと向けると。


肩に格好良く鞄をかけている数馬くんだった。


えっ、嘘や?!


私がずっと恋い焦がれていた数馬くんやん。
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