数馬くんのことが好きすぎて腹がたつ


「うん。でも、何で私の名前“かりん”って知ってるん?いつも目が合うだけで話をしたこともないのに」


「今日の下校時、学校の正門の所でこれ落としたやろ?届けようと思って、ずっとあとを追いかけてた」


私がいつも学校の鞄に付けていた可愛いひよ子のキーホルダーだ。


年季の入ったキーホルダーの裏側に平仮名で(すみたに かりん)って名前が入っている。


「かりん、可愛い名前やな。良い名前やと思う」


「べつに、そんなことないよ──。そんなん、言われたん初めてやわ」


………そんなこと言われたら、私照れるわ。


「俺、今日から、かりんって呼んでもいい?」


いきなりでびっくりしたけれど。


「いいよ。私の命の恩人やもん」


「俺、森 数馬。俺のこと数馬って呼んでいいよ」


「いきなり呼び捨ては私難しいかも。数馬くんでいい?」


「ええよ」と数馬が優しい笑みを浮かべた。


数馬くん、笑うと上の歯の左側に八重歯があるんやね。

私、何見てるんやろう。

こんな風に笑うと可愛い。

もう胸キュンやわ。

森 数馬、名前知ってるよ。

なんせ、私の学校では1番のイケメンで有名人やから。
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