数馬くんのことが好きすぎて腹がたつ
私が昨日の話の経緯を全部話そうかと迷って考えていると。
穂波が薄く口を開いた。
「じゃあ、数馬くんのこと、好きなの?嫌いなの?どっちなの?それだけ私に聞かせて」
──それだけ、って。
数馬くんのこと、好きだよ。
きっと、穂波が数馬くんのことを好きになる随分前からね。
私が今本当のことを言ったらこの場は凄くややこしくなりそうやし。
そやかて、嘘はつきたくないし。
もぉ、どうしたらええの?
わからん。
タイミング良く朝礼の鐘が鳴り、担任の先生が教室に向かって廊下をスタスタと歩いている姿が見えた。
穂波が「どっちでも、いいよ。私、かりんに負けないから!」と宣戦布告をかりんに突きつけて自分の席に戻った。
穂波の性格は思い立ったら直ぐに行動をするタイプだから予測不能なところがある。
穂波、泣いてた。
穂波、本気で怒ってる。
あんな穂波を見たん初めてやった。
っていうか、穂波が数馬くんのことを好きなん今まで本当に全然知らんかったし。
私、中学生の頃からずっと穂波と仲良がかったのに。
まさか、こんなことになるなんて。