数馬くんのことが好きすぎて腹がたつ
オレンジ色の夕日が差し込む軽音部の部室で3年生の簡単なお別れ会が行われた。
部員15名、3年生が6人、2年生が5人、1年生が4人。
私は副部長をしてたから最後の挨拶はめちゃくちゃ緊張をしてかみまくった。
私は3年間ギターを担当していた。
皆で好きな曲ベスト3を決めて演奏し。
ラスト曲が終わると後輩も含めて皆感極まり暫く一緒に肩を寄せ合って泣いていた。
後輩達から花束と暖かいメッセージが書いてある寄せ書きをもらった。
それこら少し時間が経ち、後輩達が帰り、部室にはかりんと部長の二人だけがまだ残っていた。
部長はかりんと同じクラスの島村 勇斗(しまむら はやと)で軽音部ではボーカル担当をしている。
勇斗の髪は金髪、だけど染めているんじゃない。
父親譲りのサラサラとした髪質の金髪。
隼人の父親はハンサムなイギリス人、母親は和風美人。
そんな二人から生まれた隼人はもちろんハーフのイケメン。
特に、文化祭で勇斗がマイクを握った瞬間は黄色い声が飛び交う。
勇斗目当てで軽音部に入部してきた部員も何人かいる。
カーテンが風で膨らんで揺れている。
かりんが部室を出ようとした時、勇斗が呼び止めた。
「かりん、ちょっと、話があるからこっち来て」
「──うん、何?」
かりんがゆっくりと後ろを振り返った。