数馬くんのことが好きすぎて腹がたつ


「もう、また、誰かに見られてしまうかもしれへんで」


「別に、俺はいい」


「はっ、なんで、……何言ってるん?」



「かりんが俺の話を聞いてくれるまで、俺絶対に離さへんから」



「だから、もういいって。お願いだから、離して!」



かりんをぎゅっと抱きしめる数馬の腕に徐々に力が強く入っていく。



「俺のこと、嫌いなん?俺は初めて会った時からずっとかりんのことが好きやったんやけど──」



「そんなこと…………、そんなこと今言われても………。私、困る。私、北海道の大学へ行くって、決めたし。

数馬くんのことが、もうようわからん、わからへんねん。今も、また私に仮の彼氏の延長線みたいなことをやってるやん…………」



「かりんが北海道へ、行ってもええよ。むしろ、俺は行って欲しいと思ってるねん」



「えっ、なんで、会われへんなるのに。別に、全然寂しないん?」



「寂しいで。俺だって離れ離れになるのは寂しい。かりん、そこへ行って、やりたいことがあるんやろ?本当にやりたいことを我慢して側にいられる方が俺は辛いから」



「うん、ある。ぎょうさんある。でも、私、遠距離とかって、たえられへん。だから、もう、私のこと好きにならんとって……」



「遠距離、俺たえられる自信があるし。直ぐは、無理かもしれへんけど。必ず俺が会いにいく。かりんを好きな気持ちをもう止められるわけがないやろ」


「……止めてよ」


「それ、……ほんまに本心なん?」


「そうやって、言ったらどうするん?」
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