数馬くんのことが好きすぎて腹がたつ
私、なんか、知らへんけどまた涙が出できた。
置き去りにはしたくなかった重大な問題がもう一つ。
数馬くんと穂波のこと。
これを数馬くんに聞くことが私は本当に1番怖かった。
かりんが声を震わせながら数馬に問い詰める。
「…………、数馬くん、昨日、穂波とキスしてたやんな?」
「ああ、だから、あれは、かりんが思ってるようなことと全然違うねん。ちょっと、説明させて…………」
数馬のかりんを見つめる目は落ち着いていた。
「嫌や。穂波に手を出して、次は私なん?言い訳なんて、もう聞きたくない。もう、嫌や、聞きたくないねん………」
、とそう言って数馬くんを見上げようとした瞬間、数馬くんが「もう、後で説明するわ………」と数馬くんに口を塞がれて長く甘いキスを昼休みの終わりを告げる鐘が鳴り終えるまでずっとされた。
まだ、数馬くんと穂波の話を聞いてないし。
数馬くんの何度も繰り返される優しいキス。
なんか悔しいけれど、体の力が抜けてきて、身を任せてしまった。
もう何も言わなくても、聞かなくても、数馬くんの包み込むような深く優しいキスでもう全てをわかったような気がした。
──1ミリの境界線が溶ける瞬間が幸せだった。