くま先輩は、苦くて甘くて時々キス。



「ありがとうございますっ嬉しい」
「食べていい!?」
「はい、どうぞ!」

 龍樹先輩に木でできているスプーンを渡すと、美味しい美味しいと言って食べてくれて私も嬉しくなる。

「……こっちも甘そう、食べてもいい?」
「あ、はい。ブラウニー出しますねっ――んん」

 一瞬、理解できなかった。だけどすぐに、龍樹先輩とキスをしていることに気づいた。今まで、手を繋ぐまでの清いお付き合いをしてきたから唇を重ねるだなんてそんな……少女漫画の世界、

「んっ」

 というか、私のファーストキス……私の作ったババロアの味何して、それにほうじ茶の渋みが感じられた。

「っ龍樹先輩……!」
「バレンタインだし、いいだろ。好きな子が自分の部屋にいるのにキスできないなんて拷問すぎだし……そろそろしたかった」
「……っ……」

 先輩は手を恋人繋ぎをするとまた唇を重ねた。

「これから先も、してみる?」
「えぇっ!」
「本当、可愛いぴよこちゃん」

 そう言って龍樹先輩は何度も唇を重ねキスを落とした。
 今年のバレンタインは、苦くて甘くて時々――キスだ。




          fin.



 
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