扉 ~カクテルの味は恋の味?~

「岸君ははっきりしているよね。そういうとこ僕はいいと思うな~」
「そうですかね、どうもうまく立ち回れない。損することも多いですよ。」
「自分をだまして生きていてもしょうがないでしょ。そのままでいいよ。」
「そうですね。マスターのような人生もあるし・・・」
「ハハハ。あんまりマネしないでね~。」
岸さんはマタドールを1杯飲んだら帰っていった。

「真奈美ちゃん。聞こえてた? みんないろんな別れを経験しているんだよ。自分だけが不幸だと思ってはいけないよ。次に向かって扉開けて。」
真奈美は黙ってマスターの言葉を聞いていた。

 毎週金曜日、あの岸さんも来る。
いつも私とは遠いカウンターの席に座っていた。(聞こえてくる岸さんの声、なんか気になる。落ち着く。)

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