扉 ~カクテルの味は恋の味?~

 マスターが戻ってきた。
「あー岸君、真奈美ちゃんの素顔見ちゃったのぉ? 隅に置けないな~。」
「僕メガネ屋ですからね。メガネに興味あったんですよ。」
岸はマスターにウインクした。
「マスター、真奈美ちゃんは誰かのもの?  僕、さそってもいいの? 」
「僕に聞かないでよ。本人に聞いてよ。少なくとも僕のではないよ~」
マスターはおどけて言った。
「真奈美ちゃん明日暇?  デートしてくれない? 」
真奈美は慌てた。(どうしよう、マスターどうしよう) マスターに頼るような目で見た。
「真奈美ちゃん、岸君の身元は保証するよ。あとは自分でね。楽しんで。」
「あの岸さん、まずはゆっくりお友達からなら・・・」
「OK。」

 マスターが他の人と話始めると直ぐに岸が真奈美の耳元で言った。
「僕しつこいから覚悟してね。」
岸の低めの声でゾクッとした。久しぶりにうずいた。
真奈美の鼓動が高鳴った。(あー、私どうしちゃったんだろう・・なんだか・・・久しぶりの感覚・・・)
 岸は真奈美の顔を見で微笑み低い声で言った。
「今日もデートしようか。近くに遅くまでやっている夜景のきれいなバールがあるんだ。行く? 」
真奈美は恥ずかしそうにうなずいた。

「ちょっと化粧室に行ってきますね。」
「ハイハイ。」
「マスター、真奈美ちゃんとデートしてきます。お勘定お願い。」
マスターは小声で言った。
「岸君、真奈美ちゃんは僕の大切な人。遊びなら許さないよ。」
「遊びじゃないですよ。実はずっと見ていたんだ彼女のこと。でも前の彼女と別れた時話聞いていただろうから少し間を開けた方が良いと思って、これでも我慢してたの。」
「フッ。そう・・・まぁよろしくね。」

「お待たせしました。」
真奈美は化粧室でメガネを外し、コンタクトにして化粧を直した。いつもよりはしっかりと。髪型も少し変えて・・・そしてずっと付けていたネックレスも外した。(これで忘れられる・・・)

 化粧室から戻ってきた真奈美を見てマスターも岸もその変化に驚いて無言で見いっている。
 岸は真奈美の肩をグッと引き寄せ、後ろにいるマスターに手を振った。
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