扉 ~カクテルの味は恋の味?~
何事もなく1週間が経った。もう何も起こらないと思っていた。
真奈美はこの週は水曜日にもお店に来た。なんとなくマスターが心配だったから。
そしていつものように金曜日もPortaに来た。
いつものように経理処理をして、定位置のカウンターでくつろいでいた。あんなことがあったから何となく今日は閉店までいようとおもってゆっくり飲んでいた。マスターは常連さんと楽しそうに話しをするものの、あとは静かにカウンターの中てグラスを磨いている。少し元気が無い。
10時が過ぎ、お客さんがいなくなったその時だった。
「いらっしゃい・・・ませ。」
マスターの手が止まった。
「こんばんは。一杯いいかしら。」
「・・・何飲む? 」
「そうね・・・何がいいかな・・・ホーセズネックでも作ってもらおうかな。」
「フッ、僕は君にそれを作れない。今の君に作れるのはデニッシュメアリーくらいかな。」
「そう・・・それでいいわ。」
マスターはデニッシュメアリーを作り出した。
真奈美はその会話を聞いていた。そして、携帯でホーセズネックとデニッシュメアリーを検索した。