扉 ~カクテルの味は恋の味?~

6月10日 当日。

 真奈美は、肩にちょっとだけ袖がかかるノースリーブで ひざが隠れるくらいの丈 スリムで素材の良い黒のワンピースに、斜めに小さめなバックを長めにかけて、頑張ってヒールを履いた。そして、刺繍の少し入ったグレーのストールを片手にパーティに出かけた。・・・ドキドキしながら。

 パーティ会場は思っているよりも広かった。大規模だった。(おじさんが多い。きっと、取引先のお偉いさん。本当に私いいのかな? ) 緊張しながら受付に並んだ。
受付で案内状を見せて、芳名帳に名前を書いた。

 受付を済ませ、会場の入口に歩いていくとジョニー君が立っていた。
「真奈美さーん。こっち!! 」
ジョニーは手招きをしてくれた。
「ジョニー君、待っていてくれたの。人が多いからどうしようかと思っていたの。」
ジョニーはニコニコして言った。
「真奈美さん綺麗!! とっても素敵!! 」
「ジョニー君もカッコイイ。」
(白いTシャツにピッタリとした濃紺のスーツだけど、スタイルいいからカッコイイ)
「ありがとう。でも葛城今日もっとカッコイイよ。きっと驚くよ!! 」
(楽しみ・・・どうカッコイイのかな~)

 ジョニー君が他のみんなのところに連れて行ってくれた。加納さんもちょっとなれない? スーツを着ていた。榊さんは殆どいつもと一緒? のようなTシャツに黒パンツ、カメラマンベストを着て。カメラ片手に会場内を撮影している。
「今日ね、葛城スピーチしなきゃいけなくてキンチョーしてるの。今どこかな?? ・・・あっ、あそこ。シルバーグレーのスーツ着てる。見える? 」
ジョニー君が指さして葛城の居場所を教えてくれた。
「えっ? 」
(葛城さんメガネ掛けてる。髪型もいつもと違って、上げている・・・。かっこよすぎる。ドキドキ)
ジョニー君が真奈美の顔を見てニヤニヤしている。
「そろそろ俺たちも出番だから、真奈美さんこの辺りで見ていてね。後ろの方だけどベスポジだからね。」
 加納はそう言って、3人は機材のあるところに行ってしまった。
 真奈美は葛城をずっと目で追った。
 多くの女性が取り巻いている。近くでも葛城さんの噂をしているのが聞こえる。(そうだよね、あれほどかっこよかったら誰もが気になるよね・・この会場の中で一番カッコイイ・・・葛城さん、彼女いるのかな? いるよね きっと・・・でも今日私を呼んでくれた・・・どうして??? )
いきなり不安になった。(でも不安というのもおかしい。私たちはまだお付き合いもしていない。ただの知り合い・・・)
ドキドキが止まらない・・・
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