扉 ~カクテルの味は恋の味?~

 それからしばらくして葛城さんが戻ってきた。
「あー、やっと抜けれた。みんなお疲れ~。あっ真奈美さんありがとう来てくれて。今日はまた素敵だね。」
 そう言って私を上から下まで見てから満面の笑みを浮かべた。
「すごかったです。もうびっくりで、こんなの初めて見ました。興奮しています。」
「あー良かった、ホッとしたよ、頑張った甲斐がある。・・・加納~~あと頼んでいい? 」
「はいはい、ドーゾ。」
 加納さんは手で追っ払うようなしぐさをした。
 ジョニー君もバイバイしてる。
「真奈美さんこの後付き合って。僕お腹ペコペコで。はやくここ出たいの。」
 葛城は真奈美をエスコートして会場を出ようとしている。
「はい。」
 なんだか自然に足が向いた。みんなには会釈をした。みんなはニヤニヤして手を振ってくれた。

「スペイン料理で美味しいとこあるんだけどそこでいいかな。」
「はい。楽しみです。」
二人はタクシーを拾って店に向かった。
タクシーの中で、
「あー緊張した。スピーチなんかしたことないから、昨日から物が喉通らなかったんだよ。」
そういって、メガネを外し、襟元を緩めた。
「メガネ外しちゃうんですか? 」
「伊達メガネだよ。少しでもきちっとした人に見せる為、髪型も変えてメガネ掛けて。バカでしょ。何も変わらないのにね。」
「別人みたいでビックリしました。でも、もう少しメガネ掛けててください。」
「そう? ではお言葉に甘えて・・・メガネの方がいい? 」
葛城は真奈美を覗き見て聞いた。
「今日はメガネです。フフフ」
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