扉 ~カクテルの味は恋の味?~

「そろそろ始めるか~」
葛城が声をかけた。葛城が肉を焼き、みんなに振舞った。このキャンプはある意味普段の皆の頑張りに対しての葛城からの慰労の意味も有ることがわかった。(葛城さんはみんなを大切にしている。いい人・・・)
 真奈美はなるべく葛城さんの手伝いをして、焼けたお肉をみんなに運んだ。
ピザも焼いた。榊さんが無表情でピザ生地をクルクル回して作った。なんだが意外だったので面白かった。具材は華さんが大胆に乗せて焼いた。とても美味しかった。

 みんな楽しそうだった。飲んで食べて、あれだけあった食材は2時間ほどで殆どなくなった。
「もうすぐ花火始まるから、片付けちゃおうぜ。」
葛城が号令をかけ、みんなであっという間に片づけた。

「さぁ 花火見に行こう。」
葛城は真奈美の手を引き少し山道を登った。気が付けば他のみんなは居なかった。それぞれ違うポイントから見るようだ。

 道すがら、葛城はジョニー君と榊さんがカップルだということを教えてくれた。驚いたけど、嫌悪感はなかった。そういう恋もあるんだなーと、なんかほほえましくも感じた。

 花火は綺麗な空気のせいか、とびきり綺麗だった。お腹に響く花火の音、風邪に乗って香る火薬のにおい、そして様々な花火の形、今まで見た花火の中で最高だった。

 葛城は真奈美の肩を抱いた。少し肌寒くなってきたけど、真奈美の心はとびきり暖かかった。

 花火が終わり、コテージへの帰り道・・・
「花火綺麗だったね。バーベキューも真奈美さんにもいろいろ手伝ってもらっちゃった、ありがとう。ちゃんと食べられた? 」
「沢山いただきました。バーベキュー初めてだったので、楽しくて。華さんにもいろいろ教えてもらって、めちゃくちゃ楽しかったです。花火も今までで一番きれいでした。」
「良かった~! 真奈美さんの作ってくれたトマトサラダや、即席漬けとか、みんな喜んでいたよ。お料理上手いね。」
「ちゃんとした料理は作れないですよ。一人飲みしていた時期が長かったので、つまみは結構研究しました。」
「そうなんだ。それって最高だね、全部食べてみたいな。」
葛城は、さらに肩を強く抱いた。
< 59 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop