指先から溢れるほどの愛を
五年前
encounter(出会い)
坂崎さんとの出会いは五年前。
私がちょうど就活をしていた頃。その日、私は紬出版の一次面接一時間前に紬出版本社ビル前に到着していた。
さすがに早く着き過ぎた……。
近くのカフェで時間を潰そうと思ったけれど、面接の練習もしたいからぶつぶつ言っていても迷惑にならない近くの公園に行くことにしたのがそもそもいけなかった。
ベンチに座り、ファイルに入れていた面接問答集を見ながら面接の練習をしていれば、突然べちゃ、という嫌な音と共に生温かい感触がじわじわと頭頂部に広がった。
「……えっ⁉︎」
やたらと鳩のいる公園だなとは思った。
思ったけれど、まさか自分の頭上にフンが落ちてくるなんて、一体どうして予測できただろう。
オフィス街にあるこの公園は、名前にこそ"公園"とついているが子供が遊ぶような遊具は一切なく、花壇に植えられた花々とベンチ、水飲み場がひっそりとあるだけの小さな広場みたいな場所。
平日の昼過ぎの中途半端な時間帯で誰もいなかったのは幸いだったけれど、どうするのこれ……。
私がちょうど就活をしていた頃。その日、私は紬出版の一次面接一時間前に紬出版本社ビル前に到着していた。
さすがに早く着き過ぎた……。
近くのカフェで時間を潰そうと思ったけれど、面接の練習もしたいからぶつぶつ言っていても迷惑にならない近くの公園に行くことにしたのがそもそもいけなかった。
ベンチに座り、ファイルに入れていた面接問答集を見ながら面接の練習をしていれば、突然べちゃ、という嫌な音と共に生温かい感触がじわじわと頭頂部に広がった。
「……えっ⁉︎」
やたらと鳩のいる公園だなとは思った。
思ったけれど、まさか自分の頭上にフンが落ちてくるなんて、一体どうして予測できただろう。
オフィス街にあるこの公園は、名前にこそ"公園"とついているが子供が遊ぶような遊具は一切なく、花壇に植えられた花々とベンチ、水飲み場がひっそりとあるだけの小さな広場みたいな場所。
平日の昼過ぎの中途半端な時間帯で誰もいなかったのは幸いだったけれど、どうするのこれ……。