指先から溢れるほどの愛を
回想〜side坂崎〜
五年前のあの日、ミーコを拾ったのは翌日にオープンを控えた自分の店の開店準備のため、店に向かっている途中だった。
公園とは名ばかりの小さな広場。通り掛かりに何の気無しに視線を向ければ、ショートボブの髪から雫を垂らして立ちすくむ女。
「あれ、何か濡れ鼠がいる」
まぁ正確には濡れていたのは頭だけで濡れ鼠というほどびしょ濡れではなかったけど。
そんな女に声を掛けたのは、ほんの気まぐれ。
でも振り返ったその目が捨てられた子猫のように不安気に揺れていて、どうしてそんな状況になっているのかオレは興味をそそられた。
だから事情を聞いてみれば、就活中でこれから大事な面接が控えているのに、あろうことか頭に鳩のフンを浴び慌てて洗った結果がこの状況だと言う。
……鳩のフン、そんなピンポイントで落とされるヤツ本当にいんのな。思わず笑ったら睨まれた。
でもま、そんな事情ならここで会ったのも何かの縁。
そう思ったオレは彼女を店に連れて行き、シャンプーにトリートメント、ついでに簡単なヘアセットとメイク直しをしてやった。
公園とは名ばかりの小さな広場。通り掛かりに何の気無しに視線を向ければ、ショートボブの髪から雫を垂らして立ちすくむ女。
「あれ、何か濡れ鼠がいる」
まぁ正確には濡れていたのは頭だけで濡れ鼠というほどびしょ濡れではなかったけど。
そんな女に声を掛けたのは、ほんの気まぐれ。
でも振り返ったその目が捨てられた子猫のように不安気に揺れていて、どうしてそんな状況になっているのかオレは興味をそそられた。
だから事情を聞いてみれば、就活中でこれから大事な面接が控えているのに、あろうことか頭に鳩のフンを浴び慌てて洗った結果がこの状況だと言う。
……鳩のフン、そんなピンポイントで落とされるヤツ本当にいんのな。思わず笑ったら睨まれた。
でもま、そんな事情ならここで会ったのも何かの縁。
そう思ったオレは彼女を店に連れて行き、シャンプーにトリートメント、ついでに簡単なヘアセットとメイク直しをしてやった。