指先から溢れるほどの愛を
……ああ、そういうこと。
次に繋げたいと思った時点で、最初から興味を引かれる存在ではあったんだ。
それがミーコを知る内、そんな小さな身体のどこからそのバイタリティが溢れてくるんだって位がむしゃらに仕事を頑張る姿に、だんだん人としてだけじゃなく惹かれていって。
だからミーコにねだられた月一のヘッドスパはそれらしい理由を並べて閉店後を提案して。
スパの最中二回に一回の確率で爆睡してしまう程お疲れのミーコを飲みに連れ出すのは気が引けたから、店で缶ビール一杯だけ付き合ってもらうようになって早五年。
こんなヘッドスパ一つで一ヶ月の疲れが吹っ飛ぶなんて言ってくれるミーコからこの場所を、この時間を奪うことだけはしたくなくて、オレは自分の気持ちを押し隠してあくまで美容師と客としての距離感を守りつつミーコを見守ってきた。
まぁ、口で伝えられない分ミーコに触れる指先からは存分に愛情を注がせてもらったけど。
自分がまさかこんなに健気な男だったとは知らなかった。
もういい年したオッサンが何やってんだか。