指先から溢れるほどの愛を

「なのに男と相合傘で登場なんて、いい度胸だな?」

「えっ⁉︎いやっ、えっ⁉︎」


心なしかわしゃわしゃ拭かれる手に力が篭った。


「あれはミーコのことが好きって意味だったんだけど、ちゃんと伝わってる?」


そう畳み掛けながらも拭く手を止めて、熱を帯びた眼差しで私を覗き込む。

まさかそんなにストレートに変換されるとは思ってもみなくて、真っ赤になりながらあたふたしてしまう。


「いやっあの素直に受け取ればそういう意味かもとは思ったんですが、何分素直に受け取れるほど自分に自信がなかったと言いますか……!」

「はぁ……。そこはちゃんと素直に受け取って?本当ミーコはいつも一度じゃ絶対素直に受け取ってくれないよね」

「う……、すみません……」


それは心当たりがあり過ぎる……。


「もう一度言う。だから二度目はちゃんと素直に受け取って?」


坂崎さんが、私の両頬をそっと挟んで鼻先が触れてしまうくらいの至近距離で言う。
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