指先から溢れるほどの愛を
「……身体、冷えてるな。悪い、気付かなくて。ミーコ、今日はヘッドスパ中止」
そう言われて頭をポン、と叩かれる。
「え?でっ、でも……!」
私このまま帰されちゃうの……⁉︎まだ自分の気持ち、伝えられてないのに……!
「心配すんな。ここで髪は乾かせても冷えた身体はあっためられない。風邪引かせる訳には行かねーし、だから店の裏にある家に連れてく。そこでちゃんと返事は聞くから」
「えっ⁉︎」
予想外の展開に、私の口から素っ頓狂な声が漏れた。
「嫌だったら拒否して。でも拒否しないなら、オレはそれをミーコの返事と受け取るよ?」
「……嫌です……」
「……ミーコ?」
彼の両腕をぎゅっと掴んで呟いた私の言葉に、坂崎さんの瞳が不安気に揺れた。
そんなの嫌に決まってる。そんなので勝手に私の答えとして受け取らないで欲しい。だって私は……!
「返事はちゃんと自分の口からしたいです!私だって、坂崎さんのことがずっと好きだったんですから!」
真っ直ぐに彼を見つめ、勇気を振り絞って気持ちを声に乗せる。五年分の、ありったけの気持ちを込めて。