指先から溢れるほどの愛を
「……っ、ほんっと、ミーコは色々心臓に悪い……」
言い終わった後、私はすっぽりと坂崎さんに抱きすくめられてしまった。
「……嬉しい。そういうことなら遠慮なく連れて行くよ?でもその代わり、それなりに覚悟はしておいて」
坂崎さんの腕に力が篭る。
「えっ?」
「ミーコのことになると自制が効かねーの、オレ」
だからそういう覚悟、して来て。そう耳元で甘く囁かれれば、瞬く間にぶわっと顔に熱が上る。
だって、言われている意味は流石に分かるから。
「……あっ、あのっ!仕事終わりのHPそんなに残って無いんじゃなかったんですか⁉︎」
「だからそれは嘘も方便だって言ったろ?それにオレ、言わなかった?35歳の体力なめんなよって」
せめてもの抵抗にそう問えば、悪戯っぽく笑ってあっさり返されてしまうから、さっきまで冷えていたはずの身体も一気に熱くなる。
「さっ、坂崎さんっ、何か身体ポカポカして来たので、もう大丈夫ですっ!このままヘッドスパして下さいっ」
「却下」
バッサリと言い切って、慌てふためく私を妖艶な微笑で見下ろす坂崎さん。
そして私の顎を掬い、その瞳の中に私を閉じ込めて、この前よりも甘くて濃厚なキスを落とした。
ーーそして彼の家へ連れて行かれた私はお風呂で身体を温めた後、いつもはたくさんの人を魅了する魔法の手と、なめてはいけない35歳の体力に、甘く翻弄されることとなったのだったーー。