指先から溢れるほどの愛を
「いつも予約でいっぱいのカリスマ美容師様にタダでブローしてもらえるなんて、贅沢が過ぎるね」
緩む頬を押さえながら呟く。
「ほんとだよ。でもオレがタダで何かやってやるのは今までも、これからもミーコ限定だから。つーか今時カリスマって言葉、もう死語じゃねーの?」
……そんなサラッとキュンとすること言わないで欲しい。
「……さぁ?まだ死んでないんじゃないですか?」
「テキトーだなぁ、おい」
キュンとしたのを誤魔化すようにそう言えば、ソファーの前のローテーブルに投げ出されていたドライヤーで私の髪を優しく丁寧にブローしてくれながら、彼は空気を揺らすように笑う。
その大きな手に髪を梳かれ撫でられていると、温風とともに温かい気持ちが全身を駆け巡る。
私は知らなかった。もうずっと長いこと、この指先からこうやっていつも愛情を注がれていたことに。
想いを通い合わせ、それを知ってから、私はますます彼に髪を触られることが好きになった。
だから私がこの時間のためにわざとここでこうしてうたた寝しているなんてこと、彼は知ったらどんな顔をするのだろう。
きっと、そんなことしなくても言えばいつでもやってやるのに、そう言って優しい顔で笑うに違いない。
「はい、おしまい」
彼が私の髪に触れてくれるこの時間が、今までも、これからも、私にとって最高の癒しで至福のひと時なのだーーーー。
ーfinー