ドラゴンの歌声
喉を潤したふたりは、また歩き始めた。歩いて休んで食べられるものを探して少し眠る。そんなことを繰り返していると、
「……?」
妹が何か聞きつけたように走り出す。慌ててハヤトは追いかける。茂みの奥には足を怪我した狼が1匹、伏せていた。
「ねぇ、おおかみさん。どうしたの?」
怖がるそぶりも見せずチカは近づく。ドラゴンの時と同じように。
「この俺としたことが、こんな罠にかかっちまうなんて情けねえ」
罠に抗う力も無くなったのか耳を伏せて哀しそうな狼に、ちょっと待ってと妹はいう。足にかかっている罠を、小さな手で外そうとするがうまくいかない。ハヤトは近くにあった石を手に持ち、罠を叩く。
一回ではだめだった。次はもっと強く、罠の向きを見てもう一度。
何回か叩くうちに、カチャンと音を立てて外れた。
「ケガいたそうだね」
「この辺りに傷に使えそうな薬草あるかな」
そう思ってきょろきょろと辺りを見回す。少し離れたところで石が反応し、生い茂った草の中に光る葉があるのを見つけた。
こういうのは確か揉んで汁を出すんだよな、と何かで読んだ中途半端な知識しかない。それを不甲斐無く思いながら、ハヤトは葉を揉みながら狼のところまで戻る。それを傷口になすった。
「どのくらい効くかわからないけど、ドラゴンの智慧が教えてくれたやつだ。多分大丈夫だと思う」
「ドラゴンの智慧……? そういえば嬢ちゃんが持っているのもドラゴンの?」
その狼の言葉にチカは頷くと、事情を話し始めた。所々不安な部分はハヤトが補足する。
「なるほど、青の洞窟か。お前たちの足じゃ、ちと遠いぞ」
「そうなの?」
首を傾げるチカに頷くと、狼は遠吠えをあげる。
「仲間を呼んだ。縄張りの端までなら乗せていこう」
「……?」
妹が何か聞きつけたように走り出す。慌ててハヤトは追いかける。茂みの奥には足を怪我した狼が1匹、伏せていた。
「ねぇ、おおかみさん。どうしたの?」
怖がるそぶりも見せずチカは近づく。ドラゴンの時と同じように。
「この俺としたことが、こんな罠にかかっちまうなんて情けねえ」
罠に抗う力も無くなったのか耳を伏せて哀しそうな狼に、ちょっと待ってと妹はいう。足にかかっている罠を、小さな手で外そうとするがうまくいかない。ハヤトは近くにあった石を手に持ち、罠を叩く。
一回ではだめだった。次はもっと強く、罠の向きを見てもう一度。
何回か叩くうちに、カチャンと音を立てて外れた。
「ケガいたそうだね」
「この辺りに傷に使えそうな薬草あるかな」
そう思ってきょろきょろと辺りを見回す。少し離れたところで石が反応し、生い茂った草の中に光る葉があるのを見つけた。
こういうのは確か揉んで汁を出すんだよな、と何かで読んだ中途半端な知識しかない。それを不甲斐無く思いながら、ハヤトは葉を揉みながら狼のところまで戻る。それを傷口になすった。
「どのくらい効くかわからないけど、ドラゴンの智慧が教えてくれたやつだ。多分大丈夫だと思う」
「ドラゴンの智慧……? そういえば嬢ちゃんが持っているのもドラゴンの?」
その狼の言葉にチカは頷くと、事情を話し始めた。所々不安な部分はハヤトが補足する。
「なるほど、青の洞窟か。お前たちの足じゃ、ちと遠いぞ」
「そうなの?」
首を傾げるチカに頷くと、狼は遠吠えをあげる。
「仲間を呼んだ。縄張りの端までなら乗せていこう」