ドラゴンの歌声
猫人の村
森から少し離れたところに、歩きやすそうな道があった。だだっ広い平原の中、たくさんの生き物が通って踏み固められているのか、そこだけ草が生えていない。
先程まで狼の背に乗っていたので、まだ脳が混乱しているのか、地面を踏んでいるのにどこかふわふわとしている。それはチカも同じなのか、酔っ払いのようによたよた歩いている。
「チカ危ないからリュック代わるよ」
「むー、だめー。チカがまかされたのー」
意地でもリュックを渡そうとしない妹に溜め息を吐きながら、ハヤトは辺りを見回す。すると、近くに立て板のようなものがあった。近づいてみるが、文字が読めない。
「当り前といえば、当り前だよなぁ」
「おにいちゃん、よめないの?」
「チカ、読めるのか?」
「アルタイトっていうおおきなまちがこのさきにあって、こっちにいくとネコビトのむらってのにつくんだって」
おおかみさんがいってたむらだよね、そういって首を傾げる。それに曖昧に頷きながら内心悔しいので、ためしに翻訳してと心の中で呟いてみる。
すると先程まで視えていた標識とは違う、ハヤトにもわかる文字が映った。
「あぁ、本当だ」
本当に便利だなぁ、ドラゴンの石……。
そんなことを思いながら、ふたりは猫人の村へ向かった。
先程まで狼の背に乗っていたので、まだ脳が混乱しているのか、地面を踏んでいるのにどこかふわふわとしている。それはチカも同じなのか、酔っ払いのようによたよた歩いている。
「チカ危ないからリュック代わるよ」
「むー、だめー。チカがまかされたのー」
意地でもリュックを渡そうとしない妹に溜め息を吐きながら、ハヤトは辺りを見回す。すると、近くに立て板のようなものがあった。近づいてみるが、文字が読めない。
「当り前といえば、当り前だよなぁ」
「おにいちゃん、よめないの?」
「チカ、読めるのか?」
「アルタイトっていうおおきなまちがこのさきにあって、こっちにいくとネコビトのむらってのにつくんだって」
おおかみさんがいってたむらだよね、そういって首を傾げる。それに曖昧に頷きながら内心悔しいので、ためしに翻訳してと心の中で呟いてみる。
すると先程まで視えていた標識とは違う、ハヤトにもわかる文字が映った。
「あぁ、本当だ」
本当に便利だなぁ、ドラゴンの石……。
そんなことを思いながら、ふたりは猫人の村へ向かった。