ドラゴンの歌声
 目が覚めたのは既に日が沈んでからだった。辺りは暗く、チカの姿が見えない。目が慣れないハヤトは、壁を伝って階段を下りていく。

 食堂ではたくさんの猫人たちが酒を酌み交わしている。どうやら酒場も兼ねているらしい。

「よう坊主、やっと起きたか」
「こんばんは。あの、妹は」
「ん? 嬢ちゃんなら外にいってるよ。そら、飯をくったくった」

 そういって出してくれたのはミルクの香りがするシチューだった。ひとくち口に入れればとても美味しいのだが、少し冷めている。

「熱々のなんて食えねえだろ?」

 どうやら猫人も猫舌らしい。久しぶりの料理らしい料理にがっつくのに、主人は景気よく笑った。
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