ドラゴンの歌声
「おにいちゃん、ここ?」
「そうみたい」

 林の中も暗かったが、見つけた洞窟の中は更に暗い。目が慣れるまでは何も見ることができないものの、岩壁を手で触りながら奥へ進む。

 時折吹き抜ける風がひんやりとして、ここまでくるのにかいた汗を冷やしていく。それがとても心地よくて目を瞑った。

「あれなぁに?」
「ん?」

 妹がいうのにハヤトは目を凝らす。

 目は大分慣れてきたが、『あれ』がよくわからない。どれ? と促せば、妹は握っていた手を離して駆け出していく。

「これ!」

 見失わないように小走りでついていくと、そこには淡く光る石があった。暗闇で光る石なんて初めて見たハヤトはそれにそっと触れる。

 危険はなさそうなので、持ち上げてよく見てみた。

「おにいちゃん、わたしにもみせて」
「あぁ、ごめん」

 その石をチカに渡そうとしたとき―――

「え!?」
「きゃぁ!」

 光が一層強くなり、ボクらは目を閉じた。
 次に目を開けたときには―――

「主らが手伝ってくれるのか?」

 目の前に、ドラゴンがいた。
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