ドラゴンの歌声
「我はもう長くない。このままだと直に卵も殺されてしまう。だから主らを喚んだのだ」
「つまり、ボクらに卵を守ってほしいと?」
「理解が速くて助かるぞ。だが守ってほしいのとはちと違う。運んで欲しいのだ」
「はこぶの?」
「あぁ。ここから離れた場所に青の洞窟という場所がある。我らドラゴンが子育てをする場所だ。そこまで連れて行ってくれれば、いい」
「わかった! わたしはこぶよ! ドラゴンさんのたまご!」

 妹のその言葉に、ハヤトはどきどきする。そんなに安請け合いしてもいいんだろうか。

「さすが我の喚びかけに応えた御子(みこ)だ。ありがたい」
「でも、このたまごおおきくてはこぶのたいへんだなぁ」
「うむ、そうだな。主らの身体には少し大きい。この袋に入れれば背負っていけるか?」

 そういってドラゴンはぽんっと大きなリュックサックを出してくる。確かにその大きな袋に卵を入れれば、背負えそうだ。

「その袋には重さを軽減する魔法をかけておる。主らの小さい身体でも背負えるだろう」
「わぁ! ほんとうだ! おにいちゃん! わたしでもせおえるよ!」

 それも魔法なのか、ドラゴンは妹にリュックサックを背負わせている。それに順応している妹が羨ましい。
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