悪役令嬢の幸せ愛人計画〜王太子様に(偽)溺愛されています〜

全ての不運の始まりは

「選んで?このまま娼婦になるか。それとも俺の愛人になるか」

 星屑を集めたような金髪。紅玉のような瞳。大層目を惹く容姿をした男の、とんでもない提案にユリアーネは思わず言葉を失った。

(待って?!その2択しかないの?!)


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 全ての不運は、
 皇太子に婚約破棄されたことから始まった。

 半年前――、隣国、クロスフェルス帝国。

 そこでユリアーネは、エクヴィルツ公爵令嬢と名乗っていた。
 公爵家と言えば、国で一番位の高い大貴族。ユリアーネ自身、妾の子供ではあったが、正妻に娘がいなかった為、皇太子の婚約者という立場に収まる事が出来たのである。

 名ばかりの婚約者、ではあったが。

 夜会の片隅、ダンスホールで踊る男女を眺めながら、ユリアーネは壁際にポツンと立っていた。
 わざわざユリアーネに声を掛けようとしてくる者はいない。遠巻きに眺められており、ユリアーネの周囲には人はいなかった。

 誰からも顧みられないユリアーネとは対照的に、中央には仲睦まじげにダンスを踊るカップルは、皆から注目されている。

 皇太子アンゼルムと――その恋人のコンスタンツェ侯爵令嬢。
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