悪役令嬢の幸せ愛人計画〜王太子様に(偽)溺愛されています〜
ユリアーネが何度も首を縦に振ったのと同時に、馬車が止まる。御者が外から到着を知らせた。
エスコートされながら、馬車から降りたユリアーネは唖然とした。馬車に揺られてやって来た屋敷は、思っていたよりも随分と立派だったのである。
「あ、あの、酒場でも、この馬車もそうですけど……、貴方ってもしかしてすごいお金持ちですか……?お貴族様とか……?」
使用人が男を出迎えて、一斉に頭を下げた。酒場のウエイトレス姿のままのユリアーネをジロジロ見る等といった者もいない。よく教育されている。
何より使用人の服装も、かなり上質そうだということが見て分かった。
「貴族では無いけれど……、お金持ちというのは正しいかな?」
屋敷にも使用人がいて、2人を出迎える。圧倒されていたユリアーネに綺麗な顔立ちの男はニコリと微笑んで、続けた。
「そういえば自己紹介がまだだったね。俺はリーヴェス・レームリヒト。このレームリヒト王国の第一王子だよ」
ユリアーネは空いた口が塞がらなかった。返す言葉が見付からないユリアーネの手を男――リーヴェスは取る。
「本当に知らなかったんだね。でも、契約書にはサインをしているんだ。――逃げられないよ?」
手の甲にキスを一つ落としたリーヴェスは、紅玉のような瞳を細めた。
「その身体で払ってもらうからね」
ゴクリ、と緊張からユリアーネは喉を鳴らす。
(どうしよう……!)
その場で頭を抱えたくなった。
(私、隣国の賞金首なのだけれど……っ!)
エスコートされながら、馬車から降りたユリアーネは唖然とした。馬車に揺られてやって来た屋敷は、思っていたよりも随分と立派だったのである。
「あ、あの、酒場でも、この馬車もそうですけど……、貴方ってもしかしてすごいお金持ちですか……?お貴族様とか……?」
使用人が男を出迎えて、一斉に頭を下げた。酒場のウエイトレス姿のままのユリアーネをジロジロ見る等といった者もいない。よく教育されている。
何より使用人の服装も、かなり上質そうだということが見て分かった。
「貴族では無いけれど……、お金持ちというのは正しいかな?」
屋敷にも使用人がいて、2人を出迎える。圧倒されていたユリアーネに綺麗な顔立ちの男はニコリと微笑んで、続けた。
「そういえば自己紹介がまだだったね。俺はリーヴェス・レームリヒト。このレームリヒト王国の第一王子だよ」
ユリアーネは空いた口が塞がらなかった。返す言葉が見付からないユリアーネの手を男――リーヴェスは取る。
「本当に知らなかったんだね。でも、契約書にはサインをしているんだ。――逃げられないよ?」
手の甲にキスを一つ落としたリーヴェスは、紅玉のような瞳を細めた。
「その身体で払ってもらうからね」
ゴクリ、と緊張からユリアーネは喉を鳴らす。
(どうしよう……!)
その場で頭を抱えたくなった。
(私、隣国の賞金首なのだけれど……っ!)