悪役令嬢の幸せ愛人計画〜王太子様に(偽)溺愛されています〜
経費とは言っているものの、ユリアーネに初期投資はしてくれるらしい。しかも莫大な金額。
やはり都合の良い話である。
平民の母親が公爵を射止めて妾になったものの、ユリアーネ自身は母親よりも容姿では劣る。一目惚れされる見た目でもないし、アンゼルムは見向きもしなかった程だ。
(も、もしかして……、人には言えないような性癖を持っているのかしら……?お妾さんってそういう役割って役人が言ってたわ……)
社交界の闇である。もっとも、ユリアーネは地獄耳で聞いていただけだが。
「なんかろくでもない事を考えてそうだけど」
「そうでしょうか?」
察しの良いリーヴェスに、ユリアーネは若干引きながら笑みを作った。
納得だ。こんなに顔も地位も財も持っている男が、わざわざ愛人を探してお金で買う理由。
つまり、とんでもなくヤバい性癖を持っていて、それを表沙汰にすると不味い、といった所ではないだろうか。
契約書までサインさせて、逃げられないと宣言までされているのだ。そこまでガチガチにユリアーネの逃げ道を塞ぐ必要があるという事。
(私には……荷が重すぎるのでは?)
男女関係の云々に至っては、雛鳥どころか卵レベルのユリアーネである。ご満足頂けるような技術等ない。まずプロである娼婦ですら、リーヴェスのお眼鏡にかなっていないのだ。よっぽど、大変な趣味をお持ちだと考えた方が良い。
(だけど、私が賞金首という事さえバレなければ、隣国も王子の愛人の私に手を出せないだろうし、逃げ回る心配もない……)
痛いのは嫌だが、死ぬよりはマシである。ユリアーネも覚悟しなければならない。どの道、逃げられそうにないのだから。
「そうそう。君を買った理由だけど、」
タイミングが良いのか悪いのか、リーヴェスが軽い調子で口を開く。ユリアーネは無意識に体に力が入った。
(待って、まだ聞く覚悟が……!)
「痛いのだけはやめて頂けると……!」
「俺、実は婚約者いるんだよね」
被った言葉が理解出来ずに、一瞬静寂が訪れた。
「えっ」
「え」
やはり都合の良い話である。
平民の母親が公爵を射止めて妾になったものの、ユリアーネ自身は母親よりも容姿では劣る。一目惚れされる見た目でもないし、アンゼルムは見向きもしなかった程だ。
(も、もしかして……、人には言えないような性癖を持っているのかしら……?お妾さんってそういう役割って役人が言ってたわ……)
社交界の闇である。もっとも、ユリアーネは地獄耳で聞いていただけだが。
「なんかろくでもない事を考えてそうだけど」
「そうでしょうか?」
察しの良いリーヴェスに、ユリアーネは若干引きながら笑みを作った。
納得だ。こんなに顔も地位も財も持っている男が、わざわざ愛人を探してお金で買う理由。
つまり、とんでもなくヤバい性癖を持っていて、それを表沙汰にすると不味い、といった所ではないだろうか。
契約書までサインさせて、逃げられないと宣言までされているのだ。そこまでガチガチにユリアーネの逃げ道を塞ぐ必要があるという事。
(私には……荷が重すぎるのでは?)
男女関係の云々に至っては、雛鳥どころか卵レベルのユリアーネである。ご満足頂けるような技術等ない。まずプロである娼婦ですら、リーヴェスのお眼鏡にかなっていないのだ。よっぽど、大変な趣味をお持ちだと考えた方が良い。
(だけど、私が賞金首という事さえバレなければ、隣国も王子の愛人の私に手を出せないだろうし、逃げ回る心配もない……)
痛いのは嫌だが、死ぬよりはマシである。ユリアーネも覚悟しなければならない。どの道、逃げられそうにないのだから。
「そうそう。君を買った理由だけど、」
タイミングが良いのか悪いのか、リーヴェスが軽い調子で口を開く。ユリアーネは無意識に体に力が入った。
(待って、まだ聞く覚悟が……!)
「痛いのだけはやめて頂けると……!」
「俺、実は婚約者いるんだよね」
被った言葉が理解出来ずに、一瞬静寂が訪れた。
「えっ」
「え」