悪役令嬢の幸せ愛人計画〜王太子様に(偽)溺愛されています〜
お互いを見つめ合うその姿は、どこからどう見ても相思相愛の恋人同士。最初からユリアーネではなく、コンスタンツェが婚約者であるかのような世界。
近くにいた令嬢達が扇子で口元を隠しながら、声を潜めた。
「本当にお似合いよね。皇太子様とコンスタンツェ様」
「お聞きになりまして?この間、コンスタンツェ様が街に行った時、孤児に直接恵みをお与えになったそうよ」
「本当に慈悲深いお方なのね……。わたくしだったら気付かないわ」
あ、これはいつもの流れ、とユリアーネは察知した。
ユリアーネは気まずそうに、3人ほどの令嬢から目を逸らす。まるで何も聞こえていません、とでも言うように。
「それに比べて、ユリアーネ様はまたコンスタンツェ様に嫌がらせなさったそうよ」
「嫌だわ。公爵家のお方でしょう?はしたないわ」
「皇太子様もまたお怒りのようよ。ユリアーネ様もいい加減嫉妬はお辞めになれば宜しいのに……」
口元を扇子で覆い、目だけでユリアーネを見る。ビシビシと視線を感じながら、ユリアーネは必死で気付かないフリをした。
(嫌がらせはしていないけれど……、いつの間にかした事になっているのよね……)
今回も身に覚えがない……、とユリアーネは溜息を付きそうになる。
それもこれも、コンスタンツェがアンゼルム皇太子との逢瀬を広めていたので、醜聞になるわよ、と一番最初に忠告したせいだった。アンゼルム皇太子に泣き付かれたのだ。
それから意地の悪い婚約者だというイメージが付いたのか、アンゼルム皇太子からは目の敵にされている。
ユリアーネは扇子の下でこっそりと、深い溜め息をついた。
(私なんてコンスタンツェ様から何度も殺されそうになっているのに、どこが慈悲深いのかしら……)
近くにいた令嬢達が扇子で口元を隠しながら、声を潜めた。
「本当にお似合いよね。皇太子様とコンスタンツェ様」
「お聞きになりまして?この間、コンスタンツェ様が街に行った時、孤児に直接恵みをお与えになったそうよ」
「本当に慈悲深いお方なのね……。わたくしだったら気付かないわ」
あ、これはいつもの流れ、とユリアーネは察知した。
ユリアーネは気まずそうに、3人ほどの令嬢から目を逸らす。まるで何も聞こえていません、とでも言うように。
「それに比べて、ユリアーネ様はまたコンスタンツェ様に嫌がらせなさったそうよ」
「嫌だわ。公爵家のお方でしょう?はしたないわ」
「皇太子様もまたお怒りのようよ。ユリアーネ様もいい加減嫉妬はお辞めになれば宜しいのに……」
口元を扇子で覆い、目だけでユリアーネを見る。ビシビシと視線を感じながら、ユリアーネは必死で気付かないフリをした。
(嫌がらせはしていないけれど……、いつの間にかした事になっているのよね……)
今回も身に覚えがない……、とユリアーネは溜息を付きそうになる。
それもこれも、コンスタンツェがアンゼルム皇太子との逢瀬を広めていたので、醜聞になるわよ、と一番最初に忠告したせいだった。アンゼルム皇太子に泣き付かれたのだ。
それから意地の悪い婚約者だというイメージが付いたのか、アンゼルム皇太子からは目の敵にされている。
ユリアーネは扇子の下でこっそりと、深い溜め息をついた。
(私なんてコンスタンツェ様から何度も殺されそうになっているのに、どこが慈悲深いのかしら……)