悪役令嬢の幸せ愛人計画〜王太子様に(偽)溺愛されています〜
リーヴェスは笑みを崩さなかった。それどころか、顔色すら変えなかった。
「平民だよ?それがどうかしたのかい?」
尋ねたはずが逆に聞き返され、アマーリエはたじろいだ。
「いえ……」
一瞬、思案するように目を伏せたが、気を取り直してリーヴェスを見据えた。
「わたくしは婚約者として、愛人の存在は認めかねます。ですが、リーヴェス様がお決めになった事を覆す事は出来ませんわ」
胸を張って、堂々と言い放ったアマーリエは「それでは失礼致しますわ」とドレスを摘んで優雅にお辞儀をする。リーヴェスはアマーリエを引き留める事なく、見送った。
アマーリエの姿が見えなくなってから、リーヴェスは笑みを消した。
(やはり、違和感を感じた、か……)
「早速、愛人として頑張ってくれているじゃないか」
そして、手元の書類に視線を落とした。
ユリアーネ・エクヴィルツ公爵令嬢の調査書と題された書類に。
一方、リーヴェスの執務室から出たアマーリエは、考え込むように斜め下を見る。扉の前に佇む騎士達の存在は、目に入らないといったように小さく呟いた。
「やはり、あの挨拶といい、紅茶を飲む時の所作といい、完璧すぎるわ。昨日来たばかりの平民が身に付くようなものでもない……。一体何を……?」
しばしの間その場にいたが、やがて彼女の中で答えが出たのか意思の強い光を宿した目で、一歩踏み出した。
「平民だよ?それがどうかしたのかい?」
尋ねたはずが逆に聞き返され、アマーリエはたじろいだ。
「いえ……」
一瞬、思案するように目を伏せたが、気を取り直してリーヴェスを見据えた。
「わたくしは婚約者として、愛人の存在は認めかねます。ですが、リーヴェス様がお決めになった事を覆す事は出来ませんわ」
胸を張って、堂々と言い放ったアマーリエは「それでは失礼致しますわ」とドレスを摘んで優雅にお辞儀をする。リーヴェスはアマーリエを引き留める事なく、見送った。
アマーリエの姿が見えなくなってから、リーヴェスは笑みを消した。
(やはり、違和感を感じた、か……)
「早速、愛人として頑張ってくれているじゃないか」
そして、手元の書類に視線を落とした。
ユリアーネ・エクヴィルツ公爵令嬢の調査書と題された書類に。
一方、リーヴェスの執務室から出たアマーリエは、考え込むように斜め下を見る。扉の前に佇む騎士達の存在は、目に入らないといったように小さく呟いた。
「やはり、あの挨拶といい、紅茶を飲む時の所作といい、完璧すぎるわ。昨日来たばかりの平民が身に付くようなものでもない……。一体何を……?」
しばしの間その場にいたが、やがて彼女の中で答えが出たのか意思の強い光を宿した目で、一歩踏み出した。