悪役令嬢の幸せ愛人計画〜王太子様に(偽)溺愛されています〜
もう寝るつもりだったのだろう。夜着だけのリーヴェスは、焦りを見せずにユリアーネの元へ行く。
「……これはまた、随分と愛人に入れあげてるようで」
コルネリウスは兄の様子に僅かに怯んだ。が、それには頓着せずにリーヴェスはゆるりとした笑みを浮かべる。コルネリウスから隠すように、ユリアーネを抱き寄せた。
(ちょ……?!)
ユリアーネは思わず突っぱねそうになったが、我慢した。一応恋人同士の設定なので。
リーヴェスは動揺などお構いなしに、彼女の薄茶色の髪の毛に指を絡める。
「……そうだね。お前に見せたくないくらいには」
ヒュウ、と揶揄うようにコルネリウスは口笛を吹いた。
「お熱いですねえ。ま、兄上の惚気ける貴重な姿が見れたので、今日の所は大人しく帰ります」
「いや、もう来なくていいよ」
軽く手を挙げて、コルネリウスはバルコニーの手すりに足をかける。来た道をそのまま引き返すつもりなのだろう。それを見たリーヴェスは渋い顔になった。
「あいつは窓から入ってきたのか……。随分と身軽だな」
小声で複雑そうに呟く。そして、その後にイルゼとパウラに命令した。
「ありがとう。今日はもう下がっていい」
イルゼとパウラが頭を下げて退出したのを見届けて、ユリアーネは警戒心を解くように息を吐く。
「ありがとうございます、リーヴェス様。助かりました」
「何もされなかったかい?」
「ええ、大丈夫です。いきなり入って来られたのは驚きでしたが……」
ユリアーネが何もされていない事にリーヴェスは安堵する。
「……これはまた、随分と愛人に入れあげてるようで」
コルネリウスは兄の様子に僅かに怯んだ。が、それには頓着せずにリーヴェスはゆるりとした笑みを浮かべる。コルネリウスから隠すように、ユリアーネを抱き寄せた。
(ちょ……?!)
ユリアーネは思わず突っぱねそうになったが、我慢した。一応恋人同士の設定なので。
リーヴェスは動揺などお構いなしに、彼女の薄茶色の髪の毛に指を絡める。
「……そうだね。お前に見せたくないくらいには」
ヒュウ、と揶揄うようにコルネリウスは口笛を吹いた。
「お熱いですねえ。ま、兄上の惚気ける貴重な姿が見れたので、今日の所は大人しく帰ります」
「いや、もう来なくていいよ」
軽く手を挙げて、コルネリウスはバルコニーの手すりに足をかける。来た道をそのまま引き返すつもりなのだろう。それを見たリーヴェスは渋い顔になった。
「あいつは窓から入ってきたのか……。随分と身軽だな」
小声で複雑そうに呟く。そして、その後にイルゼとパウラに命令した。
「ありがとう。今日はもう下がっていい」
イルゼとパウラが頭を下げて退出したのを見届けて、ユリアーネは警戒心を解くように息を吐く。
「ありがとうございます、リーヴェス様。助かりました」
「何もされなかったかい?」
「ええ、大丈夫です。いきなり入って来られたのは驚きでしたが……」
ユリアーネが何もされていない事にリーヴェスは安堵する。