悪役令嬢の幸せ愛人計画〜王太子様に(偽)溺愛されています〜
後ろから不躾に掛けられた声に、ユリアーネは血の気が引いた。嫌な予感がして。
恐る恐る振り返ると、アンゼルムが親の仇でも見るような目でユリアーネを睨む。その腕には不安そうな顔のコンスタンツェがくっ付いていた。
「なんの……事でしょうか……?」
忠告されていても、忠告の内容が全て身に覚えのない事だったりするのだが。
アンゼルムはハッ、とユリアーネの疑問に鼻で笑う。
「白々しい。また、コンスタンツェに嫌がらせをしていたのだろう。今度は風雨の強い日に外に締め出したのだろう。証拠は揃っている」
いつの間にかホールで流れていた音楽は止んでいた。話し声も聞こえない。この場にいた全員が固唾を飲んで、中心人物である3人の一挙一動に注目していた。
「何度も申し上げておりますが、私は何も……」
「アンゼルム様、違うの……。私が身の程を知らずにもアンゼルムを愛してしまったのが全ての原因だから……」
2人の会話の中、ユリアーネの言葉を遮るように割って入ったのは、それまで黙っていた当人だった。
ユリアーネは確かに、と心の底から思ったが、口には出さなかった。
コンスタンツェは目にいっぱいの涙を溜め、胸の前で両手を組み、目を伏せる。
「こんな浅はかなわたくしをユリアーネ様が許して下さるなら、同じ方を愛する者同士、わたくしはユリアーネ様と仲良くしたいの……」
恐る恐る振り返ると、アンゼルムが親の仇でも見るような目でユリアーネを睨む。その腕には不安そうな顔のコンスタンツェがくっ付いていた。
「なんの……事でしょうか……?」
忠告されていても、忠告の内容が全て身に覚えのない事だったりするのだが。
アンゼルムはハッ、とユリアーネの疑問に鼻で笑う。
「白々しい。また、コンスタンツェに嫌がらせをしていたのだろう。今度は風雨の強い日に外に締め出したのだろう。証拠は揃っている」
いつの間にかホールで流れていた音楽は止んでいた。話し声も聞こえない。この場にいた全員が固唾を飲んで、中心人物である3人の一挙一動に注目していた。
「何度も申し上げておりますが、私は何も……」
「アンゼルム様、違うの……。私が身の程を知らずにもアンゼルムを愛してしまったのが全ての原因だから……」
2人の会話の中、ユリアーネの言葉を遮るように割って入ったのは、それまで黙っていた当人だった。
ユリアーネは確かに、と心の底から思ったが、口には出さなかった。
コンスタンツェは目にいっぱいの涙を溜め、胸の前で両手を組み、目を伏せる。
「こんな浅はかなわたくしをユリアーネ様が許して下さるなら、同じ方を愛する者同士、わたくしはユリアーネ様と仲良くしたいの……」