チョコよりも甘いキミの溺愛。

あくびを噛み殺しながら、通学路を歩いた。



***


ーキーンコーンカーンコーン………。


ようやく最後の授業が終わり、みんながほっと一息つく。


ザワザワと騒がしくなる教室は、帰る準備をする人、部活に向かう人、これからチョコを渡しに行く人など様々。


私はカバンからお菓子を出して、迫りくる時間を潰していた。



「る、瑠璃!が、頑張ってね!」



窓の外を見つめていると友達の夕美(ゆうみ)が震える声で私を励ましてくれた。


夕美だって告白するのに………。



「ありがとう!夕美も頑張れ!」


「うんっ!」



2人で抱き合ってから、教室を出て廊下でバイバイした。


あー、もう、静まれ、私の心臓!


立ち止まりそうになる足を必死に動かして屋上を目指す。


気のせいか、学校は甘い匂いでいっぱいになっていた。ほのかに香るお菓子の匂い。


みんな頑張ってるんだな。
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