チョコよりも甘いキミの溺愛。

気を紛らわすためにもそんなことを思いながら廊下を歩いた。


ーギィィ………。


屋上に繋がるドアを開けると、先輩はもうすでにそこにいた。フェンスに寄りかかりながら下を眺めていた。


私は深呼吸をひとつすると先輩に駆け寄る。



「先輩!」


「あ、瑠璃。久しぶりだね」



私が呼ぶと振り向いて優しい笑顔を向けてくれる。名前が呼ばれる度に、キュウっと胸がうずく。



「お久しぶりです!元気でしたか?」



それを誤魔化すようにして何も無かったかのような顔で返事をする。先輩に会うのは久しぶりだから、余計にドキドキした。


あれ、またかっこよくなったかな。


見れば見るほどかっこよくて、目が離せなくなる。先輩は、そういうズルいところがあるんだ。



「ああ、元気だよ。それで?話って何かな?」



いきなり本題に入ったのでびっくりした。いつもならもう少し世間話をするのに。
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