Valentine’s Day〜争奪戦の始まり〜
えっと、と顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうにする結衣に、今度は圭がゆっくりと近付く。そして、どこか泣き出してしまいそうな表情で、ティラミスを差し出した。

「……きっと今まで俺のこと、友達Aとしか見てもらえなかったと思う。だけど、俺は結衣のことがずっとずっと好き。返事はいつまでも待ってるから。だから、俺を選んでください」

「あっ……」

結衣は目をあちこちに動かし、声にならない声を発している。そんな結衣を心配するかのように、真剣な表情をした明が結衣の顔を「大丈夫?」と覗き込んだ後、「これ……」とマドレーヌを差し出す。

「いつも、助けてくれてありがとう。結衣がおったから、毎日楽しく過ごせとるし、友達もできた。でも俺、結衣とただの友達のままやと嫌や。恋愛的な意味で、結衣のことめっちゃ好きやねん。……俺にして?」

「ッ!」

結衣の顔だけでなく、耳までもが赤くなり、今にも倒れてしまいそうなほど体が震えている。そんな結衣を椅子に誘導し、陸斗はその場に跪き、マカロンを差し出す。
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