一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜
「あのさぁ、俺から頼みがあるんだけど〜」


 休憩から戻ってきた健の手元には大きな紙袋を抱えている。


「お兄ちゃん、何?」
「はい、コレ! 二人に似合うと思うから買っておいた。これ着て今年は路上販売よろしく〜今年はガンガン売り上げ伸ばして来年に繋げるよ〜」


 有無を言わせない、と強引に押し付けられた紙袋の中にはアラサーには恐ろしい真っ赤な服がチラリと見えた。


「ま、まさか……」
「そう、そのまさかのまさか。二人ともまだまだ若いから大丈夫! 頼むよ〜」
「ぜーーーったいに嫌!!! こんなサンタのコスプレなんて着れるわけないじゃない! 三十よ!? 三十の独身女がコスプレって痛すぎるでしょ!? そうよね!? 綾乃!」
「え? そう? 私は全然イケるけど。むしろこれ着て運命の出会いとか訪れないかなぁ〜日和もサンタコスして社長にせまっちゃえば? 今夜は燃えるわよ〜」
「あんた達二人して……あ〜〜〜もうっ! 着るわよ!」


 兄妹そろってコスプレになんの抵抗もなし。二対一の多数決で完全なる敗北。
 泣く泣く夕方になりサンタのコスプレ服に袖を通した。久しぶりに履く膝上のスカート。上は長袖がだ首元がガッツリとオフィショルで鎖骨が見えてしまう。恥ずかしいけど、着るしか無いともう諦めた。サンタの帽子を被って、いざ綾乃と一緒に外に出るが――極寒の寒さだ。一気に身体に鳥肌が湧き上がった。

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