一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜
「なにをジロジロ見ているんだ」


 洸夜は長い脚を組み替え両手を膝の上に起き日和をジィっと見つめ返した。


「いえっ、ジロジロ見ていたつもりは無かったんですけど……」
「まぁいい。そこに座れ」


 言われた通りにソファーに腰掛けるとドサッとソファーが凹んだ。


(は?……)
「あぁ、日和は本当甘くて良い匂いだ」


 日和の隣に腰掛けた洸夜は日和の首元に吸い付くように頭を肩に乗せスゥッと鼻から息を吸う。


「ひぇっ!? な、なんですかっ!!!」


 息が首にふわりと当たり背筋がゾクリと震える。洸夜の胸を両手でグッと押し身体から引き離した。
「何って、お前から会いにきてくれたんだ。嬉しくて触れたいと思うのは当然だろ?」
 ぐるりと肩に手を回され身体を引き寄せられる。何を言っているのかさっぱり分からない。もしかして人違いでもしているのだろうか?


「あ、会いに来たと言うか私はここの結婚相談所に登録しにきただけでっ。離してください! 人違いです!」


 グイッと身体をひねらせ洸夜から逃げ出そうとするも力が強くて抜け出せない。


「離れんなって。お前、俺が誰か分からないのか?」


 耳元で囁くように声を流し込まれ身体が熱くなってきた。


(ん……この声……)


 どこかで聞いた事のあるような、無いような……ハッキリと思い出せない。


「あ、あの〜、どこかでお会いしましたっけ?」
「ったく、こんなに近くにいるのに思い出せないとか仕方ねぇな」


 洸夜は気怠そうに左手で日和の顎をクイッと持ち上げた。
 バチリと視線がぶつかり合い色素の薄い瞳に吸い込まれそうになる。パチンッと金縛りにあったかのように身体が動かない。


「え……んんっ……んーッ」


 頭を掻き抱かれ強引に奪われた唇。熱くて、柔らかくて、熱で溶かされて呑み込まれてしまいそう。
 強張っていた身体はどんどん蕩けはじめ頭も身体もジンジンと痺れてきた……何故か洸夜の舌に答えてしまう。


「んぅ……はぁ……」


 一度離れた唇、まだキスされているような感覚が残っている。
 なんだろう、こんな身体の芯まで溶かされてしまいそうなキスはしたことが無いはずなのに、なんだか洸夜の唇の熱と柔らかさを知っているような気がした。
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