一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜
『なんで泣いてるの? 大丈夫?』


 突然女の子に話しかけられ慌てて涙を手で拭う。五歳の男の子でも女の子に涙を見られるのは嫌だった。


『な、なんでもねぇよ……』
『そっか……じゃあ元気になるまで日和とお話ししよ』
『べ、別に元気がない訳じゃないからな』
『そっかそっか、ねぇ、お絵かき好き?』


 木の枝を持ってきた日和は徐に地面に絵を描き始めた。


『はい、ニコニコ笑顔の〜名前なんて言うんだっけ?』
『オレ? 洸夜だけど』
『ニコニコ笑顔のこうやくーん!』


 日和が地面に書いた絵はニコニコ笑っている洸夜の似顔絵だった。お世辞にも上手いとは言えない似顔絵だったが洸夜は凄く嬉しかった。目がにっこりと一本線で書かれた顔。自分のために書いてくれたことが、五歳の日和の優しさが、ギュッと心臓を締め付けるくらい嬉しかった。


『に、似てねぇし』
『似てると思ったけどなぁ。じゃあこうやくん、ブランコで遊ぼう!』


 洸夜と日和は日が暮れる直前まで二人で遊んだ。


「はっ、あの時の日和は天使みたいに可愛かったな……くっ、あーやばッ」


 せり寄せる波に手の動きが速くなる。


(あの後公園に何度行っても日和には会えなかったんだよな……)


 数週間経ってから日和は引っ越してしまったんだと公園にいた知らない子供のお母さん達の話で知り、もうあの天使のような笑顔が見れないのかと思ったら五歳ながらに絶望した。
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