一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜
「美味しいなぁ」


 白い湯気を靡かせながら届いたコーヒーにミルクと砂糖をたっぷり入れる。日和は甘党だ。甘くて温かいコーヒーが身体に染み渡る。
 振られたと言う事実は悲しくも無ければ涙も出ない。むしろなんだか少しスッキリしている。
 日和はマグロ女……不感症だ。どうしてもセックスが気持ち良いと感じた事が一度もない。恋人なのに、身体を触れらると気持ち悪くて鳥肌が立つ。濡れていないのに挿れられて痛くて、セックスをしている時間は私にとって苦痛の時間でしかなかった。
 どうして男は付き合うとすぐにセックスをしたがるんだろう? 断ると不機嫌になるし、喘がないと雰囲気盛り下がるとか言われて、日和はいつからか相手の男に合わせて喘ぐ演技をするようになっていた。


(もうセックスしなくて良いと思うと気が楽だなぁ〜)


 だが同時に悲しくもなった。振られたから悲しいのでは無い。付き合った当初から好きとかそう言う恋愛感情が太郎になかったのはもう分かっていた。結婚適齢期と周りに言われて流されるように付き合って、振られて、自分が女として終わっているような気がして悲しくなったのだ。
 心臓をギュッと握り潰されてしまうような、好きで好きで苦しくなるような恋を日和はまだ知らない。


(そもそも、原因はあの夢の男のせいよ!)


 ガチャンと勢いよくカップを置き、頭を抱えた。
 二十歳になってから日和はある特定の夢をよく見るようになっていた。
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