イジワルな君の一途で不器用な恋心
高鳴る胸と色眼鏡
新菜との女子会から1週間。
電車通学の人間には憂鬱な梅雨の季節に入った。
どんよりした空模様とは裏腹に、制服は爽やかさを感じる夏服へと移行。
通学手段も、自転車だと傘を持っていくのが大変なので、家から駅までは徒歩で向かうように。
そして胸騒ぎも、季節の変化に伴い、ほんの少し変化が。
「おはよー、琳子」
雨に打たれて色濃くなっていく線路を眺めていると、肩をポンと叩かれた。
「おはよう。今日もポンパドールなんだ」
「朝からどしゃ降りだからな。全然キマんなくて」
湿気で髪のセットが上手くいかず、諦めてピンで留めたという。
凛々しい印象に足されたやんちゃな雰囲気。
例えるなら、少女漫画から出てきた俺様系ヒーロー。
梅雨以外でも雨が酷い日はよくやっているので、これといって目新しさはない。
けど……。
「お前はいつもキマってるよな。何気に髪もツヤツヤだし」