イジワルな君の一途で不器用な恋心
伸びてきた手が毛先をつまんだ瞬間、心臓がバクンと鳴った。
勢いよく叩いて振り払い、半歩後ずさりする。
「もう、毎日毎日触って……崩れるからやめてよ」
「あぁ……わりぃ」
珍しくしおらしい声で謝った雷夜。
露骨すぎたかなと反省しつつも顔を背ける。
先週の女子会で、私は雷夜への嫉妬に悩んでいると打ち明けた。
最初はビックリされたけど、共感をもらって。
『他の人とも交流を増やしてみたら?』『嫉妬が湧く暇もないくらい別のことに熱中してみたら?』とアドバイスをもらえた。
これでやっと平穏な日々が戻ってくる!
そう期待していたのだけど……約1ヶ月も悩んだ問題。たった1日2日で改善するほど簡単ではなかった。
到着した電車に逃げるように乗り込んで、雨粒が流れる窓を眺める。
『それさ、確実に未来の彼女に嫉妬してるじゃん』
『目黒くんへの独占欲も少なからずあるんだよ、きっと』