イジワルな君の一途で不器用な恋心
会う度に新菜の言葉が頭の中で響くのはもちろん、近づいてきただけで手に汗握ったり、顔中どころか耳まで真っ赤になったり。
さっきみたいに触れてきた時は、心臓が過剰反応を起こして。相談前のほうがマシだったと思ってしまうほど暴れている。
先月まではあんなに闘志を燃やしていたのに。
今の私じゃあ、対戦しても勝てる自信ない。1体も倒せずボロ負けだ。
戦意喪失するくらい調子が狂っているが、これは雷夜と2人きりの場合。
ミワワちゃんと合流すると……。
「へぇ〜、三つ編みにしてるんだ。可愛いけど難しそうだね。普通のピンで留めてるの?」
「はい。そのまま巻きつける時は専用のピンを使ってるんですけど、三つ編みだと崩れにくいので。ちなみにこれ、1本で留めてるんです」
「マジ⁉ どうやってるか教えてほしいな」
「いいですよ! コツはですね……」
黒の傘とピンクの傘を差す2人の会話を盗み聞きしながら静かに歩く。
以前なら、私にも隣を譲ってよ〜と羨んでは、勝手に不機嫌になってそっぽを向いていた。