イジワルな君の一途で不器用な恋心

しかし今は……。



『いくら恩人でも、知り合って1ヶ月半で、奇跡とか幸せって言うのは……』

『2個上の先輩だよ? 思ったとしても、せいぜい感謝の言葉でとどめないかなぁ』



雷夜と同様、嫉妬心に火が点く前に、新菜の声が脳内をよぎるように。



「目黒先輩は髪のセットって何分くらいかけてます?」

「3分から5分かな。今日みたいに天気悪かったり寝癖酷い時は10分近くかかってる」

「早いですね〜。私はどんなに急いでも10分はかかります。琳子先輩は髪のセットって何分で終わらせてますか?」

「基本5分以内かな。今日はアイロンしたから15分くらいかかったよ」



傘から覗く愛くるしい顔に返答した。


手の込んだ耳下ツインお団子。淡いピンクに白い花がプリントされた傘。

自分の魅力をわかっていないと挑戦できないスタイル。意図的にやっているのか、はたまた無自覚なのか。


彼女の容貌や言動1つ1つが目について、別の意味で心が休まらない状態になっている。
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